「モードの帝王」 イヴ・サンローランの革新的な仕事集とその舞台裏。


現在公開中の映画、『イヴ・サンローラン』は、フランス出身のファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華々しいキャリアの軌跡とその舞台裏を描いた作品です。

「イヴ・サンローラン」といえば、そのブランドを象徴する「YSL」のロゴマークが型押しされた代表的なシリーズの化粧品やバッグ、服などのアイテムが有名で、日本にも多くのファンがいます。高級感を保ちつつも先進的なそのデザインは、ブランドを発表した1960年代からファッション界に大きな影響を与え、今も世界的に支持され続けています。

「モードの帝王」、イヴ・サンローランの輝かしいキャリアの軌跡と、極度の人見知りでうつ病に悩まされていたというその素顔、そして彼を支えた恋人の存在・・・『イヴ・サンローラン』の舞台裏に迫ります。

はじめは、クリスチャン・ディオールの後継者だった

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イヴ・サンローランは1936年、フランス領アルジェリア第二の都市であるオランに、中産階級の息子として生まれました。その後幼少期にパリに移り住み、以降、活躍の拠点をパリに置きます。彼のファッションデザイナーとしてのキャリアは、1957年、21歳という若さからスタートします。

財政難に陥っていたディオールブランドの主任デザイナーとして抜擢され、新生ディオールを率いていったところから始まります。イヴが驚くべき若さでディオールを牽引していく立場に抜擢されたのは、クリスチャン・ディオール自身が、イヴの特別な才能を認めていたことによります。

1958年、ディオールでの自身の初のコレクション発表において、「トラペーズライン」と呼ばれるデザインを発表しました。そのデザインは「ブランコ線」とも呼ばれ、裾が膝をカバーするほどの丈で、裾に向かうほど広がる、緩やかな裾広がりのデザインになっています。

新聞は、「イヴ・サンローランはフランスを救った。偉大なるディオールの伝統は続く」と彼を賞賛する大きな見出しをつけ、イヴは瞬く間にパリのファッションアイコンとして受け入れられたのです。

生涯の恋人、ピエールとの出会い。自分の名を称したブランドの設立

イヴ・サンローランを語る上で欠かせない存在である、生涯の恋人ピエール・ベルジュとイヴが出会ったのは、イヴが21歳の時でした。芸術後援家のピエールは、ディオールでのイヴの初コレクションを見てその才能に衝撃を受け、長らくイヴを支援することになります。

ピエールは恋人として繊細なイヴを精神的に支えつつ、ビジネスパートナーとして資金集めやマネジメント業務において手腕を発揮しました。1962年、後継者のポジションを奪われ不当解雇されるという憂き目によりディオールを去ったイヴは、ピエールの出資を受けて自身の名を称した「イヴ・サンローラン」を設立します。

実はこの設立以前、1960年のアルジェリア独立戦争の影響でストレスを受けて以降、精神病院に収容されるなどイヴは精神衰弱に苦しめられていました。ピエールの献身的な援助もあり、神経衰弱を完治させたイヴは自身のブランドを設立し、その後2002年の引退まで精神的な苦しみは続きながらも、第一線でファッショナブルなデザインを生み出し続けます。

初めてのコレクションを開催した際には「天才的だ」、「退屈だ」と両極端な賞賛と非難を受け、その後も常に注目されるプレッシャーと戦いながらも、常に時代をリードするモードを提案し続けたイヴ・サンローラン。その生き方は、錆びることのないファッションアイコンとして世界に認知されることとなりました。

イヴ・サンローランが手がけた、作品の数々とは

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ピエールは言います。「シャネルは女性を自由にし、サンローランは女性に力を与えた」と。シャネルはコルセットなどの締め付ける服装から女性を解放し、イヴのパンツルックなどは女性の意識とライフスタイルに変革を及ぼしたのです。イヴ・サンローランが手がけた特に革新的なスタイルをご紹介します。

有名な「モンドリアン・ルック」はイヴ・サンローランを代表する傑作のスタイル。1964年、プレッシャーによりスランプに陥っていたイヴは、ある日モンドリアンの画集を見て、溢れるように着想を得て、「モンドリアン・ルック」を発表しました。そこからアメリカへの進出も果たしたイヴは女性にタキシードを着せたパンツスーツを生み出し、1966年「スモーキング」というラインとして世に送り出しました。

当時、男性の正装とされていたタキシードを女性の夜会用の服として発表し、パンツルックの先駆けをつくりました。これは賛否両論を巻き起こし、当時サンローランのパンツルックでNYのレストランに入店しても締め出されるなどの対応を受ける顧客もいました。

また、水兵のユニフォームから派生したピーコート、探検家の服装をイメージしたサファリルックなど、男性的服装を女性用ファッションに取り入れ、女性服に対する既存イメージを変えるとともに、女性たち自身の考え方や生き方にも大きな影響を及ぼしたと言われています。

最後に

若くしてクリスチャン・ディオールにその天才的な才覚を認められ、常にファッションの最先端を牽引してきたイヴ・サンローラン。彼が作り出したスタイルというのは、単なる服としての新しいファッションだけでなく、女性の新しい生き方、時代でもあります。

その華々しい活躍の一方、繊細な心を持っていたイヴを約50年もの間、ビジネス・プライベート両面でパートナーとして支え続けたピエール・ベルジュの存在も見逃せません。より大きな脚光を浴びる中、孤独感とストレスも増大しドラッグや愛人に溺れていった時もあるイヴ。

そのイヴ・サンローランの華麗なステージとその舞台裏を、上映中の映画で楽しんでみてはいかがでしょうか。

( Photo by PinkMoose )


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